
はじめに
近年、積立NISAやiDeCoなど、少額投資を後押しする制度が普及し、投資信託を活用する人が増えています。
とはいえ、どんな商品を選び、どう組み合わせればよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、初心者でも実践しやすい「コア・サテライト戦略」を軸に、リスクとリターンにフォーカスし、それらのバランスを取りながら投資信託のポートフォリオを組む方法を紹介します。
なぜ投資信託でポートフォリオを組むの?
投資信託のメリット
投資信託は、少額から始められ、運用のプロが分散投資を行ってくれる点が魅力です。
個別株のように銘柄選定を細かく行う手間がなく、手軽に世界の成長を取り込めるのが強みです。
さらに、1つの投資信託で複数の銘柄をまとめて保有できるため、リスクの分散効果が期待できます。
個別株だけではダメなの?
個別株投資は自分で銘柄研究を行い、大きなリターンを狙える楽しさもありますが、思惑と違った時のリスクが大きいというデメリットもあります。
初心者がいきなり個別株投資に挑戦する場合、銘柄研究に時間がかかり、相場変動リスクにも翻弄されやすいです。
投資信託なら、一定の分散効果を得ながら市場全体の成長を狙えるため、初心者ほど相性が良いと言えます。
長期・積立・分散の重要性
投資の基本は、長期的な視点でコツコツ積み立てること。
そして複数の銘柄や市場へ分散しておくことで、相場の下落リスクを抑えやすくなります。
投資信託はこの「長期・積立・分散」三拍子を実践しやすい点が初心者にとって大きなメリットと言えるでしょう。
コア・サテライト戦略とは?
コア(主力)とサテライト(攻め)
コア・サテライト戦略とは、ポートフォリオを
- コア(主力):安定的に市場平均のリターンを狙う部分
- サテライト(攻め):高成長やテーマ型で大きなリターンを狙う部分
の2つに分けて考える方法です。
コア部分でマーケット全体の成長をしっかり取り込みつつ、サテライト部分で少しリスクをとって高リターンを狙います。
リスクとリターンのバランス
サテライト部分は魅力的なリターンを期待できる反面、値動きが大きくなる可能性もあります。
したがって、サテライト部分はポートフォリオ全体の一部(たとえば10〜20%程度)にとどめるのが一般的です。
リスク許容度の高い方は、サテライト部分の比率をやや増やす選択肢もあります。
コアにおすすめのインデックスファンド
インデックスファンドは市場平均に連動する投資信託で、コストが低めに設定されているものが多い点が特徴です。以下は代表的な例です。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- ポイント:世界中の株式に投資するため地域分散が効く
- リターン実績(参考):6ヵ月で年率25.00%、5年で17.80%など
- リスク:1年で14.66%程度のボラティリティ(変動幅)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- ポイント:米国の大型優良株500銘柄に連動
- リターン実績(参考):1年で24.97%、5年で21.36%など
- リスク:1年で16.05%程度のボラティリティ
楽天・全米株式インデックス・ファンド
- ポイント:米国市場全体(約4000銘柄)への分散投資
- リターン実績(参考):6ヵ月で30.09%、5年で20.49%など
- リスク:1年で15.92%程度
このほか、SBI・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども選択肢として挙げられます。
どれも低コストを追求した商品が多く、長期的な資産形成に適しています。
サテライトで成長を狙うファンドの活用
iFreeNEXT FANG+インデックス
- 特徴:Facebook(Meta)、Amazon、Netflix、Google(Alphabet)など米国ハイテク株に集中投資
- リターン実績(参考):6ヵ月で年率64.90%、1年で43.83%など非常に高いリターン
- リスク:1年リスク25.52%、3年リスク30.03%とボラティリティが大きい
【ウェルスナビ×R専用】ウェルスナビ×R(リスク許容度5)
- 特徴:短期(6ヵ月)で19.68%のリターンを記録、ウェルスナビによるアルファが期待できる
- リスク:年率12.19%程度
ROBOPROファンド
- 特徴:AIが市場予測を行い、アクティブ運用で高いアルファを狙う
- リターン実績(参考):6ヵ月で24.12%、1年で24.41%と高い
- リスク:6ヵ月10.42%、1年10.23%と比較的低リスクながら高いパフォーマンス
iFree レバレッジFANG+
サテライト部分では、これらのようなハイリスク・ハイリターン商品に小額を配分してみることで、ポートフォリオ全体のアップサイドを高めることができます。
しかし、値動きも激しいため、投資資金全体のうちごく一部にとどめることが大切です。
具体的なポートフォリオ例
リスク許容度が中程度の場合
コア部分を中心にしつつ、iFreeNEXT FANG+などで高成長セクターに投資し、ROBOPROファンドのアクティブ運用も組み合わせるイメージです。
リスク許容度が高い場合
短期的なリターンを狙いたい方はサテライト比率を増やし、米国ハイテク株などのボラティリティに耐えられるかをしっかり見極める必要があります。
今回、採用したのはこちらの組み合わせです。
リバランスの重要性
いずれのモデルでも、時間の経過とともにファンドの価格変動により比率が偏ってしまいます。
半年〜1年に1度はポートフォリオ全体の構成比率を見直し、元のバランスに戻すリバランスが大切です。
リバランスにより、リスクを適切に管理することができます。
運用を続ける上でのポイント
- 長期目線での運用
- 短期の上下動に惑わされず、市場の成長を時間をかけて捉える
- 定期的なポートフォリオ見直し
- 半年〜1年に一度を目安にリバランスやファンドのパフォーマンス確認
- 情報収集のコツ
- 公式サイトや証券会社のレポート、投資信託の目論見書や運用報告書を活用
まとめと次のアクション
ポートフォリオ設計の最重要ポイント
- インデックスファンドを中心に据え、リスクが高めのファンドをサテライトとして組み合わせる
- 定期的なリバランスで適切なリスク水準を保つ
- 自分のリスク許容度を冷静に判断し、コアとサテライトの比率を決める
すぐに始めるハードルを下げる方法
- 新NISAつみたて投資枠を活用すると、年間の投資上限はあるものの運用益が非課税
- 100円・1,000円など少額から積立を始められる
- 毎月の積立設定で、自動的に投資を続けられる
次のステップ
- 証券口座を開設し、新NISAなどを活用
- 自分の投資目標(5年後、10年後など)を設定
- コアファンドとサテライトファンドを組み合わせたポートフォリオを設定し、積立開始
長期・積立・分散を意識しつつ、定期的に運用成果を見直していけば、時間とともに資産が積み上がりやすくなります。
ハイリスクな商品に興味がある方でも、まずは全体の一部にとどめ、少額からトライしてみましょう。
ぜひ、この機会に投資信託を活用したポートフォリオ運用をスタートしてみてください。
